
どうせ自分なんてダメだ…
「なんだかずっと生きづらい」「他の人はもっと楽しく生きているように見える」
そんなふうに感じたことはありませんか?その原因を「自分の性格のせい」だと思ってしまう人は少なくありません。ですが、生きづらさの背景には、いくつかの「クセ」が関係していることがあります。
生きづらさを感じる原因にはさまざまなものがありますが、この記事では医療的な診断には立ち入りません。
ここでは、誰にでも起こりうる、思考や感情の習慣的なクセに焦点を当てて、その正体と抜け出し方を一緒に見ていきましょう。



自分の思考の「クセ」に気付くことで、少しずつ前向きに、人生を楽しむことができるようになりますよ。


マイナス思考をやめたい。
そんなときは「話す」ことで
思考のクセに気付く方法もあります。
生きづらさに繋がる3つの「クセ」とは?
生きづらさを感じてしまう背景には、「本当は苦しいのに、それを誰にも見せず、全部一人の頭の中で処理しようとしてしまう」という共通のクセが隠れていることがあります。これは、大きく3つの形で現れます。
- マイナス思考:同じような失敗や不安を、頭の中で何度も繰り返し考えてしまう
- 感情の溜め込み:本音や弱音を誰にも言えず、一人で抱え込んでしまう
- 過剰な自分責め:うまくいかないことがあると、必要以上に自分を責めてしまう
この3つは、別々に起こることもあれば、同時に絡み合って起こることもあります。それぞれのクセについて詳しく見ていきましょう。
生きづらさを感じるクセ①マイナス思考
マイナス思考が止まらないのはなぜ?
“マイナス思考”というワードからどのようなイメージを思い浮かべますか?
「卑屈」「メンタルが弱い」「性格が暗い」……なんだかマイナスなワードを思い浮かべる方が多いと思います。まず知っておいてほしいことは、マイナス思考は「性格が暗いから」「メンタルが弱いから」起こるわけではない、ということ。
人はもともとリスクや脅威に敏感に反応するようにできており、ポジティブな情報よりネガティブな情報に目を向けやすく、記憶にも残りやすい傾向があります。
心理学ではこれを「ネガティビティ・バイアス」と呼びます。たとえば、1日のうち9割がうまくいっていても、残り1割の失敗の方が強く記憶に残ってしまう、というのはこの傾向によるものです。



つまり、マイナスなことを考えやすいのは、ある意味「人として自然な反応」といえますね。
問題なのが、この心理的傾向が日常の些細な場面でも強く出すぎてしまうことです。
なぜマイナス思考は「止まらなくなる」のか?
マイナス思考が止まらなくなる背景には、大きく2つのパターンがあります。
パターン①不安の連鎖
一つ目は不安の連鎖です。例えば仕事でミスを犯してしまった場合、そのミス自体は解決しても、再度同じ仕事に取り組む際に「また前回と同じことが起きるかもしれない」と予測して不安になってしまうような現象を指します。失敗をした経験から準備を念入りにしていたとしても、不安の予測が止まらず、その不安を打ち消そうとさらに考えてしまう…といった連鎖パターンです。
パターン②自己否定のループ
二つ目は自己否定のループです。当てはまる方も多いのではないでしょうか。「マイナスに考えてしまった」こと自体を「こんなこと考える自分はダメだ」と責めてしまう。そしてその自己評価の低下がさらにマイナス思考を生み、「こんな考えは止めよう」とするほど逆にマイナス思考が強化されていくパターンです。
つまり、マイナス思考が止まらない原因は「思考」そのものよりも、「マイナスに考えてしまった自分に対する反応」が問題といえるでしょう。マイナスな考えが浮かんだことを自分で責めてしまうことが、さらにマイナス思考を生みやすくしているのです。
マイナス思考の「典型的な4パターン」
マイナス思考には4つの典型的なパターンがあります。まずは自分の思考がどのパターンに当てはまるか考えてみて下さい。自分の思考のクセに気づくことが、マイナス思考から抜け出す小さな一歩になりますよ。
典型①0か100か思考(完璧主義)
「1つでも失敗したらすべて台無し」と極端に考えてしまう。成功している事実よりも失敗した1つの事実に目を向けてしまう。
例:「今日のプレゼンで1つ言い忘れた=プレゼンは失敗だった」
典型②過度の一般化
「一度失敗した=いつも失敗する」と、一つの結果をすべてに当てはめてしまう。
例:「あのとき断られたから、また断られるに決まっている」
典型③マイナスフィルター
良いことがあってもそこに意識を向けることができず、ネガティブな部分だけに注目してしまう。
例:褒められても「そこまで言うのはお世辞だろう」と受け取れない
典型④先読みの誤り
「どうせうまくいかない」と、行動をする前に結果を決めてしまう。
例:友達に連絡する前から「どうせ断られる」と考えてしまい誘えない
生きづらさを感じるクセ②感情の溜め込み
感情を「溜め込む」とは?
感情を溜め込みやすい人には、いくつかの共通した傾向があります。それは責任感が強く、周囲への気遣いを優先してしまうタイプ。
「自分が我慢すれば、その場がうまく収まる」「弱音を吐いたら、相手に迷惑をかけてしまう」
そんなふうに考えて、無意識のうちに自分の感情よりも周囲との関係を優先してしまう経験はありませんか?
これは人間関係を大切にしようとする「優しさ」の表れでもあり、素晴らしい強みです。ただ問題なのは、その優しさが自分自身に向けられていないということ。
自分の感情を押し殺して、他人を優先してしまう。その経験が積み重なった結果、自分の気持ちを発散させることができなくなり、生きづらさのの原因になっている場合があります。
なぜ感情を溜め込んでしまうのか?
あなたは普段、「大丈夫」という言葉が口グセになっていませんか?
感情を溜め込むクセがある人ほど、この言葉が無意識に出ている方も多いかもしれません。
「弱音を吐くな」「すぐ泣くな」と、感情を出すことを否定された経験があったり、我慢強く自分を律さねばならない経験をもってきたほど、こういった感情の溜め込みグセに繋がりやすいでしょう。
本当は大丈夫じゃないのに、気を遣わせたくなくて「大丈夫」と言ってしまう。これを繰り返しているうちに、自分自身も「本当は大丈夫じゃない」という感覚に気づきにくくなっていきます。
さらに我慢することに慣れすぎると、「限界のサイン」そのものを見逃しやすくなります。体調を崩したり、突然涙が止まらなくなったりして、ようやく自分の状態に気づく、というケースも少なくありません。
我慢が習慣化することで、自分の感情に鈍感になっていく。
これが、我慢がエスカレートしていく仕組みです。
感情を溜め込みやすい人によくある4つのパターン
パターン①聞かれる前に「大丈夫」と先回りしてしまう
相手が心配する前に、自分から「大丈夫だから」と伝えてしまう。
相手を気遣っているようで、実は自分の本音を隠すための言葉になっているかもしれません。
パターン②「弱みを見せると評価が下がる」という思い込み
弱音や困りごとを見せることを、「能力が低い」「頼りない」と思われないか、という思い込み。
誰かに話すことで自分自身の弱さが露呈してしまう恐怖心から、余計に一人で抱え込んでしまいます。
パターン③自分の気持ちより相手の都合を優先し続ける
「本当はこうしたい」という気持ちがあっても、相手の都合や場の空気を優先してしまい、自分の希望を後回しにし続けてしまいます。
パターン④「もっと大変な人がいる」と自分の感情を過小評価する
自分よりつらい状況の人と比べて、「こんなことで悩んでいる自分は甘い」と、自分の感情そのものを軽視してしまいます。



いかがでしょうか?多少は誰にでも当てはまるものなので、必ずしも「自分の考え方が悪い」ということではありません。
「そろそろ自分の気持ちにも目を向けていいサイン」とポジティブに捉え、自分の思考のクセと向き合ってみましょう。
生きづらさを感じるクセ③過剰な自分責め
勉強や仕事でミスをしたとき「反省」をする。
反省自体は、次に活かすための前向きな行動です。ただ責任感が強くて基準の高い人ほど、反省が行き過ぎて「自己批判」に変わってしまうことも。
「次はこうしよう」と次の行動に向かうものですが、自己批判は「自分はダメだ」という人格そのものを否定する方向に向かってしまいます。
この違いに気づかないままだと、「もっとうまくやれるはず」と自分を追い込み続けてしまうのです。
自分責めによくある4つのパターン
パターン①「反省」のつもりが「人格否定」になっている
「あの対応は良くなかったな」という行動への反省のはずが、いつの間にか「自分はダメな人間だ」という人格への評価にすり替わってしまう。
パターン②他人には優しいが、自分にだけ厳しすぎる
同じミスを友人がしていたら「仕方ないよ」と言えるのに、自分がすると許せない。
そんな無意識の基準に気づかず、自分にだけ厳しくしてしまいます。
パターン③一つのミスで全てを台無しにする
一つうまくいかなかったことがあると、それまでの努力や成果まで「全部ダメだった」と感じてしまう。
パターン④責めることをやめると「甘え」だと感じてしまう
自分を責めるクセがついてしまうと、自分を責めることをいつの間にかやめられなくなる。
「それは甘えなんじゃないか」という感覚が邪魔をして、なかなか手放せなくなってしまいます。
思考を切り替えて、心を楽にする4つの方法
ここまで3つの思考のクセについて解説してきました。
では具体的に、思考のクセを和らげる方法はあるのでしょうか?
ここからが、今からすぐにできる思考の切り替え方法を4つご紹介します。4つすべてをする必要はありません。「これなら意識できるかも」ということから1つずつ徐々に意識を切り替えるように試してみて下さい。
①「止めよう」より「気づく」を優先する
「考えるな」といわれると、余計に考えてしまう。
これは心理学で「シロクマ効果」といわれています。「こういう考え方をするな」と止めようとすればするほど、かえって意識が向いてしまうというものです。
「また考えてしまった」と思ったら、自分を卑下するのはいったん止めて、「あ、今クセがでているな」と、感情をただ実況中継してみてください。 自分の感情を「観察」するだけで、思考と自分の間に距離が生まれ、少しだけ心が楽になりますよ。
②思考を「事実」と「解釈」に分ける
マイナス思考で苦しむ場合、「事実」そのものよりも自分の脳内で作ってしまった「解釈」に苦しめられるケースが多いのではないでしょうか。
- 事実: 友人からの連絡が返ってこない
- 解釈: 「嫌われているのかもしれない」(作り出した解釈)
同じように、「上司に呼ばれた(事実)→怒られるかもしれない(解釈)」といった例も同様です。事実と解釈を分けて考える意識をはじめてみましょう。
マイナスの考えが頭をよぎった時、「これは客観的な事実か? それとも自分の勝手な解釈か?」と立ち止まって考えてみてください。解釈を事実だと勘違いしていることに気づくだけで、不安はグッと小さくなります。
③書き出す(ジャーナリング)
頭の中だけで考え続けると、同じ思考がぐるぐると繰り返されやすくなります。思考が止まらない場合は、紙やスマホに「書き出す」・「声に出して話す」ようにしてみましょう。
頭の中の考え事を言葉にして外に出すことで、自分の考えていることが客観的に見られるようになりますよ。
書き出す方法(ジャーナリング)はとくにおすすめです。難しく考える必要はなく、「今感じていること」をそのまま数行書くだけで十分です。
迷ったら、この3つを書いてみましょう。
- 今日、実際に起きた出来事(事実)
- それに対して浮かんだ考え(解釈)
- 今の素直な気持ち
書き方に正解はないので、文章ではなく単語でも構いません。日記のような感覚で、気軽な気持ちで自分の思ったこと・感じたことを書いてみて下さい。見返してみると、自分の思考のクセに気づきやすくなりますよ。



書くのが苦手な場合は、信頼できる人に「話を聞いてもらう」こともおすすめです。話すことで感情の整理に繋がりますよ。
④「完全にやめる」を目標にしない
0か100か思考(完璧主義)の人は特に注意してほしいことが「今日から考え方を切り替えるぞ!」といった目標を立ててしまうこと。誰しも感情には波があるのはもちろん、思考のクセは長年にわたって身に着いたものなのですぐに切り替えることは非常に難しいことです。
目標は「考え方を変える」ことではなく、「飲み込まれる時間を少しずつ短くする」こと。以前は一晩中悩んでいたことが、30分で切り替えられた。その小さな成功体験を徐々に積み上げていくことを意識してくださいね。
一人で抱えず、誰かに話してみるという選択肢も
ここまでの方法は、どれも一人でできるもの。
ですが、「頭の中だけで処理しようとする」クセそのものを断ち切るには、誰かに話してみることも一つの方法です。
声に出して話すことで、自分でも意識していなかった「自分自身の気持ちや本音」に気付くきっかけになることがあります。また、誰かに聞いてもらって受け止めてもらう経験によって、「自分の感情を外にだしていいんだ」という安心感に繋がることも。
話を聞いてもらう相手は友人、家族、パートナーなど身近な人が一番頼りやすいですが、傾聴サービスを利用するのもおすすめです。


聞き手のスタンスは、余計なアドバイスも評価も否定もしません。まずはただ話を聞いて受け止めます。
マイナス思考・感情の溜め込み・過剰な自分責めといった思考のクセに関する悩みは、誰かに評価されずにただ聞いてもらうだけで、負のループから少しだけ距離を置けることも。
30分単位から匿名で利用でき、オンラインまたは対面の好きな方法で利用できます。
日常生活で関わることのない「第三者」だからこそ、自分の本音を言いやすいこともありますよね。気になる方はどんな聞き手が掲載されているか、ぜひチェックしてみてください。
まとめ:自分を責めず、今の自分に合う方法を
- 生きづらさの背景には、マイナス思考・感情の溜め込み・自分責めという3つのクセがある
- 3つに共通するのは、「本当は苦しいのに、一人で処理しようとしてしまう」という点
- どのクセも、性格の弱さではなく、誰にでも起こりうる思考・感情の習慣
- 「止めよう」とするほどかえってやめられなくなる
- 完全にやめようとせず、飲み込まれる時間を少しずつ短くすることを目指す
- 一人で抱えるのがしんどいときは、誰かに話してみることも選択肢の一つ
繰り返しになりますが、今回ご紹介した4つの方法を、はじめから完璧に行う必要はありません。「気づく」だけでも十分ですし、「書く」ことが一番しっくりくるかもしれません。
思考の切り替えは筋トレのように少しずつ慣れていくもの。うまくいかない日があっても「そんな日もある」と受け流して、また明日から試してみてください。



まずは、今の自分が「これならできそう」と思うものから始めてみましょう!


まとまっていなくていい。
うまく話せなくていい。
ただ話したい、それだけで予約できます。












